JACTIM広報委員会

突撃レポート ~ Malaysia-Japan International Institute of Technology(MJIIT)~

JACTIM機関誌「会報」や「会報デジタル版」では、JACTIM活動の報告や役立つ情報を満載しています。その連載記事の一つである“突撃インタビュー”では、当地域の様々なトレンドを紹介すべく、JACTIM広報委員が話題の人物や会社を訪れて取材を行っています。

今回の突撃レポートではMalaysia-Japan International Institute of Technology(MJIIT)の後藤副院長にインタビューを行ってきました。

MJIITは、日本の大学や日系企業と様々な活動を行っておりMJIITの設立背景や現在の活動状況、また日系企業との繋がりについてお伺いしてきました。
活動制限令下であったため、オンラインミーティングの形でインタビューを行い広報委員よりの質問にお答えいただきました!

オンラインミーティング中の後藤副院長

1. 2021年4月1日より副院長にご就任されたと伺いっておりましたが、今のお気持ちをお聞かせください。またそれ以前と比較して変わったことなどあればお伺いできますでしょうか?
はい。副院長を務めておりますが、実際にはそれほど前とは変わっておりません。教授としての仕事が第一なので、引き続き生徒の皆と直接関わる講義や研究を行っています。
立場上の業務は少し増えましたが、2020年3月半ば以来、講義を全てオンラインでおこなったり、そのための準備や宿題作りなどでバタバタしております。

2. MJIITがマレーシアで設立された背景を教えて頂けますか?
2001年にマハティール元首相が小泉元首相と対談し、マレーシアで日本式の工学研究機関を創設しようという話となったのが始まりです。それがちょうど20年前ですね。
紆余曲折があり、MJIITはマレーシア工科大学(UTM)の一つの学部として発足することになりました。
大学側の準備もあり、そこから少し時間を置いて2011年秋に開校。2012年に初めて学生を募集することとなりました。
今は、独立性の高いUTMの学部という立ち位置になっています。

3. MJIITにはどのような学科があるのでしょうか?
どのような学部がありますか?それぞれの教育内容や在籍学生数、教育理念など概要を教えて下さい。
MJIITのビジョンとして“Leading in cutting edge technology education and research(最先端技術の教育と研究をリードする)”を掲げています。
また “持続可能な産業と社会のために、日本の工学教育とマレーシアの特色を融合した教育を提供すること”、“電子工学、精密機械工学、環境・グリーン工学(当時)、技術経営の分野で優れた学術・研究をリードすること”を使命としています。
創設時は3つの学科から始まり、機械精密工学科(MPE)、電子システム工学科(ESE)、大学院として経営学科(MOT)がありました。2013年から学部で化学プロセス工学科(CPE:当時。今は、化学・環境工学科 ChEEに改称)が開始、また大学院で2016年より防災修士プログラムが開始となりました。
現在は、少し前に電子電機学科から枝分かれした、ソフトウェア・エンジニアリング学科も創設されたので合計すると5つになります。
学科数については今後もアップデートされ、より魅力的なものが増えるのではないでしょうか。学生数としてはMJIIT全体で学部・大学院を合わせて1400人程が在籍しています。

左上から時計回りに 後藤副院長、田邉委員、 柏村委員、山本委員

4. マレーシアの他大学との違いを教えて下さい。
やはり一番の違いは日本の大学と先生と密に接し研究できるということだと思います。
日本語も学ぶ環境もありますし、在学中に日本企業にお世話になり企業研修を行ったりもしています。在マレーシアの日系企業だけでなく、日本で企業研修を行うということは、あまり他の大学ではやられていない活動だと考えています。MJIITでは毎年30名ほどの学生を日本での企業研修に派遣しています。
MJIITの設備に関して言えば、他の研究機関やマレーシア国内でも稀な最先端の装置があったりもします。また、iKohza(イノベーティブ講座)と呼ばれる研究グループを単位にセミナーや、先輩-後輩システムによるボトムアップの教育もおこなっています。

5. ここまでのMJIITの取り組みを教えて下さい。
日本企業との連携・研究にやはり力をいれていますし、日本の大学とのいわゆる交換プログラムなども行っています。
MJIITでは、Joint-Degree Programmeというプログラムが利用でき、例えば筑波大学などの日本の大学の学長とマレーシア工科大学の学長両名から学位が与えられるというようなものもあります。
日本の企業や学術機関との連携によるプログラムがMJIITの学生は享受できる仕組みになっています。

6. 人材育成の目指しているところを教えて下さい。
MJIITでの勉強・研究を通して基礎をしっかり固めて欲しいというのが私の願いです。
私個人として民間企業でも研究を行っていたこともあるので、採用側の立場からみて、応用の利く人材になって欲しいというのが希望です。
全てのことを知っているという万能になるのはなかなか難しいことですが、今自分が持っているもの、知っていることを活かし、問題を解決できる人材に育って欲しいと思っています。

7. 教育機関を運営されるお立場として日本とマレーシアの違いをどう感じられていますか?
マレーシアにおられる皆様も感じていることかと思いますが、物事の進み方の時間感覚はずいぶん違うように思います。
また、これは現地ならではかと思いますが、約束が約束として認識されていない時に非常に驚きます。これこれをやると決定されたと思ったら、あくまで、出来たらいいなくらいの希望として認識されていたということもあり、難しい一面もありますね。
また、日本とはずいぶん違うと思うのは女子学生の割合で、MJIITの大学院コースでは過半数が女子学生となります。
これはなかなか日本では起きない現象ではないでしょうか。

8. 今までどのような苦労がありましたか(コロナ前)?
部署によっては数年で職員の異動が必要になるため、プロフェショナルな人材の育成が難しいと感じています。
また、その都度発生する業務の引継ぎが大変ですね。

9. コロナ禍が未だ終息しない中、現在どのような運営をされていますか?
最近は全てオンラインでの講義となっています。
活動制限令が緩和された時には、実際に学生と会って研究室で活動をすることができましたが、現在は講義や学内のミーティングなど全てオンラインという状況です。
MJIITは2月と9月が入学のタイミングになるのですが、2021の9月に入学された学生とはまだ一度も実際に会うことが出来ていません。
今はほとんどの学生が実家から講義に参加している状態です。母国に戻っている留学生もいます。
学生と直接関わって研究や実験を実施したり、人として繋がりを持つことができない状況はやはり少々辛いです。

10. 日系企業と連携や今後の展望について教えて下さい。
MJIITの学部学生は,卒業するために3か月の企業研修が必須になっています。その研修生を,マレーシアまたは日本で受け入れてくださる日本企業を常に募集させて頂いております。
日本語検定3級を目標に日本語の習得に励み、日常会話レベルであれば問題なくこなせる学生が多くいます。専門性が高くなると言語に苦労する場面も出てくるかもしれませんが、柔軟に受け入れをお願いできれば幸いに思います。
卒業生の中には研修内容が優秀でそのまま企業への就職のお誘いをもらった者がいたり、日系企業に就職し日本を含めた世界で活躍している者もいます。
JACTIM様を通してキャリアフェアなども行っておりますので、是非ご検討頂ければと思っております。

11. 最後に~後藤副院長コメント~
添付の写真は、最後の物理的な卒業式(2019年秋)の時のもので、JBの本校キャンパスで撮ったものです。この3名がその年の卒論指導生でした。私は何時も、教え子達を祝いたくて本校でのConvocationに参加しますが、この時は近くにいた男子生徒のケープとキャップを借りて、この写真を撮ってもらいました。元々、このような距離感で学生たちと付き合いたいと思ってマレーシアに来たので、今のような状態はとても残念です。

広報委員会編集委員

柏村 信光 (INFINITY FINANCIAL SOLUTIONS)

田邉 尚子(三菱商事)

執筆:山本 有里(全日空)

<会報157号より抜粋>